
2019年からのコロナ禍で多くのメディアが掲げた新しい働き方の選択肢である「テレワーク」。
政府は原則7割の業務をテレワークにするよう推奨していますが、現在の普及率は理想とは程遠い数字です。
また、他にもリモートワーク、モバイルワーク、在宅勤務など新しい単語が登場し、混乱している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、テレワークの意義や類似語との違い、そしてテレワークのメリット・デメリットを徹底解説します。
コロナ禍で生まれた新しい選択肢を上手に活用すれば、きっとあなたの人生にもポジティブな変化が訪れますよ。
目次
テレワークとは?どのような働き方なの?

一言テレワークといっても、実際はどのような働き方なのか分からない方も多いのではないでしょうか。
まずは、テレワークの定義や種類、そして類義語それぞれの意味を解説していきます。
テレワークとは?
teleworkのteleは「work:働く」を修飾する形容詞で「遠い、離れた」を意味します。
つまり、簡潔に表現すると、「オフィスから離れた場所で働く」ということです。
後述しますが、テレワークは様々な目的で利用されコロナ禍以前から推進している企業もあるほどです。
続いては、テレワークの類似語である在宅勤務、モバイルワーク、サードプレイスオフィス勤務について解説します。
テレワークの3つの種類
在宅勤務
在宅勤務とはその名の通り、オフィスや職場ではなく自宅を仕事場にして働くことです。
主に、退職した主婦やフリーランスとして報酬を得ているライターやデザイナー、エンジニアが該当します。
ネットワーク環境とパソコン一台あれば、自分の好きな時間帯に好きなだけ働けるので、柔軟に対応できます。
モバイルワーク
モバイルワークの「モバイル」とは「可動性のある、持ち運べる」を意味します。
公共機関での通勤時間や仕事中の空き時間でスマホやタブレットからアクセスし、資料の整理やLINEチェックなどをすることです。
特に営業職に多く、移動中に顧客とコミュニケーションをとることで作業の効率化や顧客満足度の向上を図ります。
サードプレイスオフィス勤務
サードプレイスとは「第3の仕事場」を意味します。
アメリカの社会人心理学者であるレイ・オルデンバーグ氏が提唱した概念で、米国や欧州では主流の働き方です。
在宅勤務のような自宅でもなく、職場のオフィスでもなく、自分がリラックスして仕事に取り組む場所を指します。
人の目を気にせず想像力が湧きたつので、心が安らぎ新しい斬新なアイデアが降ってくることも珍しくありません。
具体例を挙げると、身近なホテルやカフェ、専用のアトリエが当てはまります。
テレワークをするメリット・デメリット

テレワークは時間と場所を選ばない分融通が利き自由度が高い印象ですが、実際はメリットだけとは限りません。
ここからは、実際にテレワークを行う業種の方の声も入れたメリット・デメリットを紹介します。
テレワークをする6つのメリット
オフィスに行く通勤時間の削減
平日の通勤ラッシュ時の満員電車はとても苦痛でストレスになりがちですが、テレワークは自宅が仕事場なので、電車に乗る必要性が全くありません。
通勤時間の間でもスマホで完結することが山ほどあるので、有効活用するとより業務効率化に繋がります。
満員電車のストレスがなくなる
公共機関の電車やバス、自転車や車での移動時間は、どうしても一定時間がかかってしまいます。
特に満員電車の場合は、身動きが取れないことや、知らない人との密着などにより、通勤ストレスの原因になりがちです。
このような満員電車のストレスがなくなるのは、とてもありがたいポイントです。
家事・子育て・介護中でも働ける
テレワークは自分のライフスタイルに合わせて仕事ができるので、家庭事情が複雑でもあまり影響はありません。
育児や家事が終わった後に、落ち着ける音楽や飲み物を隣に置いたりすると、リラックスしながら仕事ができます。
災害時や緊急時にも対応が可能
日本は世界的に見ても、地震が多い国です。直近でも、「南海トラフ巨大地震」や「首都直下型地震」が起こると言われており、企業は災害時の対応にも力を入れ始めています。
テレワークはこのような災害時や緊急時にも力を発揮します。
地震の影響外にいる社員は、仕事に影響をきたすことなく、仕事を進めることができます。
また、社員は自宅で仕事をすることが可能ななため、地震によりオフィスに影響があった場合も、仕事への復帰を早くしたり、損害を抑えることが出来ます。
人材不足の解消
日本は少子高齢化の影響により、人材不足が社会問題となっています。
特に、待遇面で不利な中小企業にとっては、テレワークにより、場所の制限をなくすことにより、人材を確保しやすくなります。
また、特に顕著な人材不足に陥っているエンジニアやデザイナーもテレワークとは非常に相性が良いため、働きやすい環境でアピールすることにより、人材不足を解消することも不可能ではないでしょう。
様々なコスト削減
交通費、食事代、オフィスでの備品代もテレワークでは不要なので、浮いた分をテレワーク環境整備や人材募集に回すことで、より円滑に業務を進めることができます。
テレワークをする6つのメリット
仕事のON/OFFの切り替えが難しい
特に在宅勤務の場合は仕事もプライベートも自宅で過ごすので、スイッチの切り替えが難しく業務効率やモチベーション低下などのリスクがあります。
仕事に集中する1人部屋や書斎ではなく、リビングの場合だと家族と同じ空間なのでより業務が困難になります。
長時間労働に陥ってしまいやすい
「好きな時間に好きなだけ働ける」というのは、裏を返せば「開始/終了時間が決まっていない」ということです。
時間を絞って仕事をやっても、ついつい夢中になり気づけば徹夜だった・・・というパターンも少なくありません。
テレワークは時間とスケジュール管理の両方をこなす必要があります。
Wi-Fi環境が必須になる
在宅勤務やカフェでのテレワークは、家や公共施設での限定Wi-Fiが必須です。
そのため場合によっては無線LANやセキュリティコードなどの知識が必要な場合があります。
機械やインターネットに疎い方は、知り合いのエンジニアや専門家に助言を求めるといいでしょう。
生産性が下がるリスクがある
「仕事の始まりも終わりも自宅」の場合は環境の切り替えができないので、つい怠けてしまったり今日のノルマを設定しなかったりと、業務効率が下がり結果生産性が低下します。
気分転換にストレッチをしたり散歩に出かけるなど、身体をリフレッシュさせると良い切り替えができます。
コミュニケーションロスになる
テレワークになると、同僚や上司との会話機会が圧倒的に減少します。
個人作業で孤独感が強く、人によっては「強い孤独感のせいで全てマイナスに考えてしまう」などのネガティブ思考になるケースも珍しくありません。
実際にテレワークをしている人の声でも、「会話不足で寂しい思いをする」と言う声が多く挙がっています。
少しのテレビ電話やLINEメールのコミュニケーションでも、自然と肩の荷が下りるものです。
情報漏洩のリスクが上がる
テレワークをするうえで最も注意するべきなのが、情報漏洩のリスクです。
社外秘の重要事項やパスワードなどが第三者に漏れてしまわないよう、常にロックをかけたりセキュリティチェックを徹底するようにしましょう。
また社員限定のグループラインや連絡網を作成する場合、ログイン時のIDやパスワードは厳重に管理しましょう。
テレワークの生産性を高める4つのコツとは

普段会社勤めでテレワークをするよう言われた場合、先ほど挙げたメリットや注意点に陥る可能性があります。
ここではオフィスワーカーがテレワークをする際に気を付ける4つのコツをご紹介します。
仕事時間を明確に決める
自宅が職場である以上、仕事とプライベートの線引きは必須です。
この境界線が曖昧だと生産性や業務効率が低下しモチベーションが無くなってしまうので、「どの時間帯を仕事に費やすか」を自分のライフスタイルや性格を考慮し、タイムスケジュール管理をしっかりと行いましょう。
集中しやすい環境を作る
家族といることが多いリビングやダイニングは、不必要な会話に意識が行って業務効率が低下してしまいます。
雑音が気になる場合は、自室に移動するか耳栓を着けてテレワークを行うとよいでしょう。
また自室でテレワークを行う場合でも、オフィスデスクを業務がしやすい環境に片付けるのも非常に重要です。
従業員同士でコミュニケーションをこまめにとる
大企業の楽天やSONYは定例Zoom会議や懇親会を行いメリハリをつけることで、意欲向上を図っています。
個人作業で孤独感が強くなりがちなテレワークだからこそ、まずは1週間に1度でもオンライン飲み会や雑談会をすると、ストレスがたまりにくく、リラックス効果が期待できます。
例え画面上であっても「自分は1人ではない」ことを自覚すると、不思議と業務効率にも変化が現れます。
勿論プライベートに限らず、質問や報連相(報告・連絡・相談)に絵文字を付けると、穏やかな雰囲気になります。
便利なITツールを活用する
LINEやメール以外にもスマホでできるチャットツールやシステム管理ツールが多数あります。
スケジュールや時間管理を自分でするのが難しい方は、アプリを頼ってもいいでしょう。
テレワークを効率良く進めるためのおすすめITツール

「どれを使えばいいの?」と悩む方に、最後はランキングでも好評のビジネスアプリをシーン別にご紹介します。
原則無料でアカウント作成可能のツールが多いので、初心者や疎い方でも安心して試していただけます。
ビジネスチャットツール
Slack(スラック)
無料でアカウント作成ができ、登録メンバー同士で素早く連携が取れるビジネスアプリです。
実際私も業務連絡はLINEよりもSlackの割合が高いです。
他のツールと連携することも可能なので、自分への通知などをこれ1つで一括管理できてスマホが片付きます。
Chatwork(チャットワーク)
これもLINEやSlackと並んで使用人口がとても多いビジネスチャットアプリです。
一言で表すとするなら「仕事用LINE」でしょうか。
リアクションや返信が絵文字のみで完結するので、手間暇がほぼかかりません。
さらに音声電話やビデオ通話機能も付いているので、スマホでも会議や相談会が行えます。
ビジネスチャットの中でもトップクラスの使用人口とユーザーからの高評価を得ているので、損はありません。
実際私も、業務連絡の際はSlackとChatworkでの報告が多いです。
唯一の注意点は、登録ユーザーが多い場合です。
無料プランは連絡できるユーザー数が有限なので、企業内で使用する際は有料プランに切り替える必要があります。
月440円のスタンダードプランから始まり、フル機能を使う場合は550円のプラチナスタンダードプランとなります。
1か月の無料トライアル期間があるので、まずは使ってみてどうするべきかを考えましょう。
Web会議ツール
Zoomミーティング
テレワークを始めるうえで最初にやるべきは、会議ツールの設定です。
その中でもZoomは今や最も知名度が高い会議ツールだと言えます。
テレビ番組の収録や普段の業務の中でもZoomでやり取りをするケースが多いはずです。
スマホでも利用可能ですがバッテリーやギガ数の消耗が激しいので、パソコンでの利用をお勧めします。
例えPCの中になくても、メールやメッセージで送られるURLをクリックするだけで会議に参加できます。
こちらも原則無料で行えますが、場合によっては設定問題で音が遅れて聞こえるラグが発生します。
音ラグが気になる場合は他のアプリに切り替えたほうが得策ですが、初心者はまずはこれで対応しましょう。
V-CUBE(ブイキューブ)ミーティング
このツールを知っているのは少数派だと思いますが、アメリカではテレワークの常套手段となっています。
世界最新の映像技術でクリアかつ滑らかな映像での会議は勿論、インターネット環境があれば世界中から接続可能で、画面共有もできます。
原則無料で使用可能ですが、有料プランは画面の背景のバリエーションが増えて画像の鮮明度もクリアになります。
グループウェアツール
ここで専門用語であるグループウェアの意味を解説しておきます。
グループウェアとは、組織内で情報共有や円滑なコミュニケーションを実現し業務効率を向上させるツールの総称を指した言葉です。
企業でテレワークを行う際は、情報共有やまめなコミュニケーションは不可欠なので、ぜひ取り入れたい所です。
Googleカレンダー
Googleサービスの1つであるGoogleカレンダーは、アカウントとアプリがあれば情報共有とスケジュール管理が簡単にできます。
テレワークに限らず、個人事業主やビジネスマンにも使用人口が多いアプリです。
1回のタップでメンバー全員にメールを一斉送信することもできるので、大事な連絡も簡単に行えます。
サイボウズOffice
中小企業向けのグループウェアサービスで、従業員が多い場合に取り入れるべきアプリです。
スケジュール管理や仕事内容の表示(ワークフロー)、テレビ電話や勤怠管理、業務用ファイル整理などの下準備が完結するので、特に事務職の方に重宝するでしょう。
勤怠管理ツール
勤怠管理とは、出席カードやタイムカードなどの「出勤を確認する」システムのこと。
コロナ禍で物に触るのが抵抗感がある今、まさに役に立つツールです。
ジョブガン勤怠管理
企業や個人事業関係なく、勤怠管理ツールでは業界No,1の支持を得るサービスです。
タイムカードではなく通勤で使用するICカードやLINEでのメールで勤怠管理、他にもシフトや体調管理まで知らせることができます。
Teamspirit(チームスピリット)
こちらは海外に使用人口が多いプラットフォームサービスです。
世界930社の13万人が使用する実績豊富なツールで、社外でも日報や業務連絡、勤怠管理や体調などを知らせることができ、他にもグラフの集計や分析、経費計算、工数管理などの多種多様な機能が備わっているので、ビジネスマンには是非取り入れたいアプリです。
まるでExcelの豪華版のような印象ですが、こちらも原則無料で使用できます。
ツールやアプリは職種やライフスタイルで常に変動するので、どれが自分に適切かを常に考えておく癖をつけておくと、取捨選択の繰り返しで自然と頭やスマホの中身が整理されていきます。
まとめ
テレワークは「オフィス以外の職場で仕事をすること」が定義なので、今までの環境が一変することになります。
しかしテレワークのリスク、注意点、揃えるべきツールなどを予め知っておけば、安心して始められますよね。
テレワークはあくまで選択肢の1つなので、強制義務は一切ありません。
テレワークが巻き起こす思わぬ落とし穴の多さに驚いた方もいらっしゃるでしょう。
しかし性格や周囲の環境に合わせたテレワークを行うと、そのリスクを回避できます。
コロナがくれた新しい働き方を是非フル活用して、第2の人生をスタートさせましょう!